2015年11月27日【専修大学】津波の犠牲になった専大OBのご両親が講演

神田キャンパスで田村ご夫妻が命を守る大切さ語る

東日本大震災の津波で犠牲になった本学OBの田村健太さん(平20法・当時25歳)のご両親である孝行さん、弘美さんが11月23日、神田キャンパスで講演、学生ら350人に企業の防災意識の重要さや命を守る大切さを訴えた。
2011年3月11日。健太さんは当時勤務していた七十七銀行女川支店(宮城県女川町)で被災。防災マニュアルに沿って他の行員らと高さ10メートルの2階建ての屋上に避難したが、約20分後に押し寄せた20メートルの大津波に飲み込まれた。
ほかに3人が命を落とし、8人が行方不明になっている。近隣の多くの人々は同支店から歩いて3分の高台に逃れ、助かった。
講演は法学部「法社会学II」公開講義として行われた。今年9月初旬、出張で女川町を訪れた飯考行法学部准教授(法社会学)が同支店跡近くの記念碑前で語り部を行っている孝行さん・弘美さんと出会い、健太さんが本学法学部の卒業生であることから実現。
弘美さんは「健太がここで講義を受けていたかと思うと胸が熱くなる」と会場を見渡した。そして、健太さんが軟式野球愛好会で野球に打ち込んでいたこと、宮城県にUターンし第一志望の同銀行に就職し、充実した社会人3年度目の被災だったことを紹介。「人生がこれから花開くところだった」と振り返り、スクリーンには在りし日の健太さんが映し出された。
孝行さんは「息子たちがなぜ、高台に避難しなかったのか究明したい。社会に出る皆さんは息子の身に起きたことを自分のこととして受け止め、安全な社会を考えてほしい」と健太さんの命を教訓にするよう呼びかけた。
孝行さんら遺族は銀行側の責任を追及して損害賠償を求める訴訟を起こしている。当日は代理人弁護士3人も同行し、訴訟の経緯などを語った。
飯ゼミ14人は9月中旬には女川ゼミ合宿を行っている。講演を聴いた飯ゼミ3年次生は「(合宿に行くまで)健太さんのことはまったく知らなかった」(三好亨典さん)、「絶対に風化させてはいけないこと」(杉崎千春さん)、「声を上げる大切さを感じた」(佐藤里紗さん)と話した。
飯准教授は「津波災害の教訓や、訴訟にもちこまざるを得なかったことや事情を遺族からお聞きし、私たちと共有する場になった」と語った。
講演後、田村夫妻は飯准教授のゼミにも参加しゼミ生と語り合った。

津波の犠牲になった専大OBのご両親が講演01

▲遺影と共に講演する田村弘美さん、孝行さん

津波の犠牲になった専大OBのご両親が講演02

▲講演を聴いた学生と語り合う

 

引用:https://www.senshu-u.ac.jp/news/20151127-03.html(専修大学)

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