2025年01月17日世話人メッセージ 赤とんぼの会 代表 エレベーター事故遺族 市川 正子
エレベーターは、私たちの生活の身近にある乗り物・機械です。しかしその構造や危険について何も知らず、ただ安全だと、厳しく管理されているのだと思っていませんか。私もあの日までそうでした。
2006年6月3日、息子はいつものようにエレベーターを利用し、降り始めている最中に、突然エレベーターのかごが上昇したため、乗降口との間に挟まれ命を奪われました。まだ、16歳でした。
この戸開走行事故の背景には、⓵ロープ式エレベーターが持っていた戸開走行のリスク②エレベーター業界の中で、製造業者と独立保守業者が対立し技術・保守・マニュアル等の情報が共有されない③事故機ブレーキの構造上の特性④事故機・隣接機には3年間で43件の不具合が出ていたことと、様々な背景が絡んでおり、技術・保守、不具合等の様々な情報が共有されていれば、エレベーターの上昇を止める戸開走行保護装置がついていれば、防げた事故なのです。
16歳の命を奪ったこの戸開走行事故は、一人の事故でなく、エレベーター利用者みんなの安全に関わる問題であり、1つのメーカーだけでなく、エレベーター業界全体に関わる問題です。エレベーター利用者の安全を脅かしているこの状況を曖昧にはできないと、国土交通書・消費者庁・製造業者・独立保守業者に状況を改善して貰うよう、今も訴え続けています。
今年で19年目をむかえるエレベーター事故、今も多くの方の寄り添いを頂きながら訴え続けています。その中で出会った田村さんご夫妻、災害・事故・事件等の遺族の方々には、規模の違い、状況の違い等、様々な違いはありますが、奪われた命をみんなの安全に活かす「一人一人の命を大切にする社会を願って」という共通の願いを持っており、皆様との連携は、一遺族として歩き続けている私自身に勇気をくださっています。
赤とんぼの会代表
エレベーター事故被害者遺族
市川 正子