2020年03月10日【朝日新聞デジタル】屋上へ避難した息子は津波に 両親が語り継ぐ企業防災
スーツ姿の男女をかたどった慰霊碑の前で、企業防災を訴える田村孝行さん(中央)。左は妻の弘美さん。報道記者をめざす大学生らが聴き入った。左後方に津波被害を受けた七十七銀行女川支店があった。かさ上げ工事が完了し、新たな建物が立ち始めている=2020年2月23日午後、宮城県女川町、矢木隆晴撮影
東日本大震災9年、復興のバトン
「職場で災害が起きたとき、何を優先して行動すべきか」。冷たい雪が吹きすさぶ宮城県女川町で、田村孝行さん(59)は学生10人に語りかけた。「まずは人命が第一。次に共助を考えてほしい」
9年前、震災で七十七銀行女川支店の銀行員だった長男の健太さん(当時25)を失った。支店長の指示で同僚らと高さ約10メートルの支店屋上へ避難したが、20メートル近い津波に襲われた。
「震災直後、社内で何が起きていたのか」。再発防止のためにも真相を知りたいと、銀行を相手に安全配慮義務違反を問う訴訟を起こしたが、退けられた。
2012年夏から、週末のたびに同県大崎市の自宅から車で1時間かけて女川町まで通い、夫婦で語り部を続けている。妻の弘美さん(57)は「活動は健太と3人でやっている。災害の事実を伝えていくことが息子の命を生かすこと」と話す。(矢木隆晴)
引用: https://www.asahi.com/articles/ASN395607N39UQIP01G.html (朝日新聞デジタル)