2020年11月25日世話人メッセージ 一般社団法人 大船渡津波伝承館 館長 齊藤 賢治

 

東日本大震災から10年になろうとしております。

10年経っても変わらないものがございます。それは犠牲者への思いでございます。三陸沿岸を中心に2万人近い方々が犠牲となりました。

犠牲者を単に数で表すのは余りにもむごさを感じます。一人一人にご家族がおられ悲しい日々を送っていると言う事実があります。その中の一人に「田村健太さん」がいる。健太さんは当時女川にある銀行にお勤めだった。内勤をしている時に大きな地震に襲われたと聞いている。私は幼少の頃から父親から津波の怖さを繰り返し聞かされ津波とは怖いものだと幼い心に刻み込まれていた。昭和35年地震は無かったが父親の「津波だ~」の一言で素早く服を着て近くの高台へと避難した体験している。東日本大震災に於いては父親からの教え通り大きな地震が有ったので津波を連想しすぐさま安全なところに避難をした。

企業に於いても、全く同じことが当てはまります。企業のトップは社員の安全と幸せを願い普段から心がけるものと心得ている。

いざと言う時に、職員を守るにはそして幸せを維持するには当然の企業人の姿勢であると思っている。自然災害は人間が思うようには行きません。従いまして、これでいいのかここでいいのかをその場その場で即座に判断しなくてはなりません。私が事業に携わっていた時には津波警報や注意報が出た時は職場放棄していいから早く安全な場所に逃げなさいと指示していた。企業の経営者としての願いは社員、仕入先、納入先そしてお客様の共に幸をもたらすものでなければならないと心得ていた。

健太さんのお勤めになっていた銀行の長としての判断の誤りは、銀行の屋上に逃げろは限りがある小さいビルの屋上だったので誤りであったと言える。高い所へと連続的に避難が出来る場所を選ばなかったことであると確信している。自然の作り出す猛威は私たちの思う通りにはならない事を認識し、津波の避難先の条件は更に大きな津波が来ても更に高い所に逃げられる場所を考えるこれがリーダーとして大事な心得だと改めて思うところです。

今後、同様な犠牲を出さないためにも企業のトップは社員をお客を関係者を守るにはどうあるべきかを常に念頭に置いて事業を進めるべきであると思うところです。

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