2022年10月24日世話人メッセージ 徳島大学 人と地域共創センター 学術研究員 博士(工学)井若 和久

徳島大学人と地域共創センター 学術研究員 博士(工学) 井若 和久

田村孝行さん・弘美さん、そして健太いのちの教室関係者の皆さま、お世話になっております。健太さんの想いを大切にした長年にわたるいのちの伝承活動にいつも敬服しております。

 田村さんご夫妻と初めて対面したのは2017320日、女川町の慰霊碑の前でお二人から、あの日健太さんら起こったことについて涙ながらに教えていただきました。孝行さんの実直さと弘美さんの暖かさに触れ、私が健太さんと同年代であったこともあり、お二人のことを父母のように想い、胸が熱くなったことを覚えています。

 20213月には、徳島大学オンライン連続講演会において、田村さんご夫妻に「大切ないのちを守る企業防災~宮城県女川町から語り継ぐ~」と題して、徳島および全国の皆さんにご講演いただきました。参加者からは、「七十七銀行女川支店の話は初めて聞いた」「いのちの大切さに改めて気付かされた」「命を一番に考える企業や社会にしていかなくてはいけない」といった感想をいただき、講演会の様子は徳島新聞朝刊紙面に掲載していただきました。

 20225月、健太さんらの慰霊碑は「女川いのちの広場」に移設されました。私は東日本大震災前に、社会から忘れさられつつあった徳島県内の地震・津波碑36基を調査し、「徳島県における地震・津波碑の価値と活用について」として論文にまとめたことがあります。その結果、碑文内容は時代が進むにつれて、「犠牲者の供養」→「地震・津波の様相」「復興・再建の記念」→「教訓とする行動」と変化していったことがわかりました。私達の先人は、南海地震で破壊と再生を繰り返す中で、後世の人々が二度と悲惨な目に合わないように「命のメッセージ」を伝えようとしてくれていたことに気づいて以降、防災学習の場で子ども達と地震・津波碑を訪れ、学んでいます。

健太さんの慰霊碑と田村さんご夫妻のいのちの伝承は、今後も沢山の方々の学びと伝承のバトンにより、現世はもちろん後世も含めた多くの方々のいのちを救うかけがえのない活動です。孝行さん・弘美さんにはお身体にご自愛いただき、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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